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  「頭書 古今和歌集遠鏡」  山崎美成の序
 
古今和歌集遠鏡頭書序
いにしへ今の世のはるけき都とひなの手ふりのことなるけちめはあれと世の人のよろこひうれたみ楽しみ悲しみにわいためあるものかは そのひとの心をたねとして読出たらん歌のいかなれはめ其意の得かたきふしのみ多かると思ふにそはたゝあかれ世の詞の巧かつはやんことなきあたりのみやひにしあれは賤かこゝろにとけさるもうへなりけり さるを本居鈴の屋の翁のをしへ子のために遠鏡にうつしとりてをちの梢もまのあたりに見る心地せらるゝまてに鄙詞もてとき喩されたるいさほのほとたくふへきものあらめや いてや敷島の道たとらむ人の枝折にもかなとて頭書をくはへ冠の箱にもをさむはかりのすりまきとしたるはことし天保の十あまり四とせ初秋の風もやゝ涼しき軒端にはし居して山崎美成しるす
 
  >> 冠の箱にも入るぐらいの摺巻にしたという表現と、天保十四年という記述が目を引く。  

  「頭書 古今和歌集遠鏡」  山崎美成の跋
 
此遠鏡は鄙言もてうつしとかれたることまことに詞をみやひに証を引いてたらん注釈よりははるかにまさりて童児にもとみにわきまへさとり易く今さらおのれなとか言を容るへきことかは 枕詞序語は歌をとくにくた/\しとて聊もいひ及ほされす されは猶便りよからんことをおもひてくさ/\の書ともより頭書を加へたるは諺にいふ蛇に足をゑかけるの誚りあらんか 天保みつのとの卯ふみ月よししけ又しるす
 
  >> 「童児にもとみにわきまへさとり易く」と「遠鏡」の読みやすさを強調していおり、「くさ/\の書ともより
    頭書を加へたる」と頭注について述べている。
 
  参考: 「歌謡俳書選集四 古今集遠鏡」 (1927 藤井乙男 文献書院)  


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