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Bou株価電卓での申告分離課税の計算について
(2003/11)

<基礎知識>

     
*1  証券会社を通じて売買された上場株式等の場合
  • 株式の売買で得た利益には税金がかかります
  • 税金の種類は所得税と住民税(地方税)です
  • 税率は2003年〜2007年の間は所得税が 7%、住民税が 3%です (*1)
  • 課税は年間(1月1日〜12月31日)の通算利益に対して行われます

特定口座での税金の扱いはどうなっているか


基本的には株式関係の税金は他の所得と分離して計算し、翌年、確定申告をして納めなければなりません。
よってこれを申告分離課税と呼びます。

申告の際には、一年間の損益に関わる売買についての明細を提出する必要がありますが、証券会社で特定口座を開くと、その中で取引されたものに関して証券会社が報告書を作成してくれるので、それを確定申告の時に使うことができます。

さらに特定口座を 源泉徴収選択口座 タイプにすると、その口座内での取引については証券会社が顧客の利益を管理し、税金を源泉徴収することにより税金を自動的に納めてくれます。つまり、このタイプの口座での取引では確定申告が不要になります。

2004年度から 源泉徴収選択口座 では、一年間の通算利益が管理され、所得税および住民税が源泉徴収されて翌年に証券会社を通じて納められます。

<2004年度以降の源泉徴収選択口座で毎回の税額計算の例>

日付 利益額(*2) 年間利益額 源泉徴収額 税金プール(*3) 毎回の源泉徴収額の根拠
 1月9日 +200,000 +200,000 20,000 20,000  200,000 * 10%
 1月21日 -150,000 +50,000 -15,000 5,000  20,000 - 50,000 * 10% が戻される
 3月19日 +100,000 +150,000 10,000 15,000  150,000 * 10% - 50,000
 6月3日 +500,000 +650,000 50,000 65,000  650,000 * 10% - 15,000
 10月24日 -800,000 -150,000 -65,000 0  年間利益がマイナスになるため戻される
 11月1日 +100,000 -50,000 0 0  年間利益がマイナスで戻すものがないためゼロ
 12月27日 +750,000 +700,000 70,000 70,000  700,000 * 10%
*2 証券会社の手数料やその消費税およびその他経 費を引いた後の利益/損失を指します
*3 税金プールとは、ここで仮に付けた名前です。証券会社が源泉徴収した税金をどれだけプールしているかを指します
※ 実際に利益額がマイナスになった時の、それまで払った税金の戻され方は、証券会社によって異なるかもしれません

Bou株価電卓での税金の扱いはどうなっているか


上記の表で 利益額源泉徴収額 の項目だけを見ると何か複雑なことをしているような印象を受けます。
例えば3月19日と11月1日では共に10万円の利益が出ているのに、源泉徴収される税額は異なりますし、10月24日の80万の損失で6万5千円分が戻されたり、12月27日の75万の利益では7万円が引かれたりしています。

しかし、年間利益額税金プール に着目してみると、要は

税金プール年間利益額の10%(税率分)になるように源泉徴収額で調整している

だけであることがわかります。そして 税金プール の額は常に 年間利益額 の10%(税率分)なので、結局、年間利益額だけをしっかり押さえておけば、毎回の手取り額(利益額 - 源泉徴収額)は把握することができます。

また、実際には 源泉徴収選択口座 で持ち株のすべてを一元管理しているとは限りません。 特定口座自体を持たない方や複数の証券会社で特定口座と普通の口座を入り混ぜて運用されている方もいらっしゃるでしょう。それでも税という観点から見れば話はシンプルです。どのような管理をしようが、問題はその人がトータルどれだけの年間利益を上げているか ということです。

以上のことから、Bou株価電卓では税金の計算用に「各種設定」−「計算時」の画面に 年間利益額 という項目を持っています。この項目は手入力エリアで、プログラムはその値を参照はしますが更新はしません(自動更新しないのはBou株価電卓は試算がメインの目的であるためです)。ユーザーはこの項目に別途管理している一つの数字、つまり今までどれだけ年間利益をあげているか を指定することにより、Bou株価電卓に税額の計算の「種」を教えます。複数口座をお持ちの方はそれらの合算を指定していただくことになります。Bou株価電卓はその数字を使って、仮想の源泉徴収口座タイプで計算を行います。

具体的に上記の表のケースで見てみましょう。上の表は取引の結果を示しているため、各行で年間利益が確定していますが、Bou株価電卓では計算する前の時点までの年間利益を指定していることに注意してください。

<Bou株価電卓での税額計算の例(買値から計算)>

日付 利益額 ユーザー入力による
これまでの年間利益額
利益に対する
課税額
毎回の最終利益
(利益額−課税)
利益に対する課税額の根拠
 1月9日 +200,000 0 20,000 +180,000  200,000 * 10%
 1月21日 -150,000 +200,000 -15,000 -135,000  (200,000-150,000)*10% - (200,000 * 10%)
 3月19日 +100,000 +50,000 10,000 +90,000  (50,000+100,000)*10% - (50,000 * 10%)
 6月3日 +500,000 +150,000 50,000 +450,000  (150,000+500,000)*10% - (150,000 * 10%)
 10月24日 -800,000 +650,000 -65,000 -735,000  0 - (650,000 * 10%)
 11月1日 +100,000 -150,000 0 +100,000  0 - 0
 12月27日 +750,000 -50,000 70,000 +680,000  (-50,000+750,000)*10% - 0
  +700,000 70,000 +630,000  

1月9日
■ 年のはじめなので年間利益額はゼロです(繰越損失がある場合はマイナスの数字からスタートということも考えられます)。
1月21日
■ 1月9日の利益分の20万を年間利益額として指定します。今回の15万の損失で年間利益は5万となり、それに対する課税は5千円ですが、これまでの年間利益が
■ 20万と指定されていることから税金プールが2万円あると想定し、払い過ぎなので差額の1万5千円を戻すかたちになっています。
3月19日
■ 1月21日の15万の損失により年間利益額は5万となるのでそれを指定します。今回の利益と合わせて年間利益は15万となりそれに対する課税は1万5千円ですが、
■ 年間利益額が5万と指定されていることから税金プールにはすでに5千円が入っていると想定し、その差額である1万円を今回の課税分と計算します。
6月3日
■ 3月19日と同じ考えです。計算前の年間利益額は15万円で税金プールには1万5千円あり、取引成立後には年間利益が65万円、税金プールには6万5千円が
■ 入るため、今回の課税分は6万5千円 - 1万5千円で5万円になります。
10月24日
■ 今回の損失80万により、年間利益額は-15万円になります。年間利益額がマイナスなのでこれに対する課税額はゼロです。それに対し、この取引前までに
■ 税金プールには6万5千円が入っていることが、計算前の年間利益65万によりわかるので、その分を戻すかたちになります。
11月1日
■ 年間利益額の指定は-15万円です。これがマイナスの数字なので計算前の税金プールはゼロであると想定されます。また今回の利益10万を足しても年間利益は
■ -5万円で、まだマイナスであるため、これに対する課税額はゼロとなり、税金プールから戻す分もないため、課税額はゼロです。
12月27日
■ 年間利益額の指定は-5万円です。11月1日と同じく、これがマイナスなので計算前の税金プールはゼロと想定されます。一方今回75万の利益を上げたので、
■ この取引後には年間利益は -5万円 + 75万円で70万円になります。これに対する課税は7万円で、先にプールされている税金もないので、この7万円がそのまま
■ 今回の課税額となります。

そして、最終の年間利益は70万円で利益に対する課税の合計は7万円、よって一年間の最終手取りは63万円となり、これは毎回の最終利益の合計の63万円と
等しくなります。

補足


取引が確定する度にユーザーが 年間利益額 という項目を変えてやる必要があります。
しかし、それは面倒、という方には他に二つの選択肢があります。

(A) 「各種設定」−「計算時」で「利益に対する課税を常に0とする」というオプションをONにする
(B) 年間利益額をゼロのままにしておく

(A)の場合はその言葉通り、課税額が常にゼロとなります。(B)の場合は毎回利益に税率を掛けたものが課税額となります。つまり上の表の1月9日のケースと同じです。利益がマイナスの場合は課税額はゼロになります。

どのタイプを使うかは必要に応じてお選びください。

また、Bou株価電卓には「売値から計算」という計算モードがあります。これは信用の空売りや、現物を持っていて相場がまだ下がりそうな時、
一旦売って後で買い戻したらどうか、というような試算をするためのものですが、「売値から計算」モードで「現物」指定での計算時は、年間利益額がいくらに指定されていても課税額は常にゼロとなります。これは現物の買戻しの試算で税金を考えても意味がないという発想からです。


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