Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻五

       題しらず 読人知らず  
288   
   踏みわけて  さらにやとはむ  もみぢ葉の  降り隠してし  道と見ながら
          
     
  • さらに ・・・ あらためて
  
踏み分けてさらにこの先、訪ねて行こうか、これは紅葉が降り隠した道だと思いながら、という歌だが、 "さらにや" と "見ながら" の解釈は微妙である。

  古今和歌集の配列からすると、この歌は一つ前の 287番の歌の「道踏みわけて とふ人はなし」と並べて置かれているので、待つ人に対して訪れる側の気持ちの歌と見えるが、 "さらにや" の 「や」を反語として 「(わざわざ)紅葉が(来ないようにと)降り隠した道だと分かりながら、(あえて)踏み分けてこの先行こうか、いや行くまい」という意味にもとれる。しかしこの歌からは強い否定の感じは受けないので、「行こうか、行くまいか」というニュアンスがあると見ておきたい。

 
( 2001/12/06 )   
(改 2003/11/21 )   
 
前歌    戻る    次歌