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- つひに ・・・ 最後まで
- もみぢぬ ・・・ 紅葉しない
雪が降り年が終わる、そんな時にこそ最後まで色が変わることがない松が意識されることだ、という歌。 "もみぢぬ" は、「もみぢ+ぬ」で上二段活用の 「もみづ」の未然形+打消しの助動詞「ず」の連体形である。ざっと読むと「年の終りについに」という言葉の感じから、「もみじした」というように 「ぬ」が完了の助動詞に見えるが、完了の助動詞「ぬ」が 「松」に付くためには、「もみぢ+ぬる」となると思われる。 「つひに」という言葉を使った歌の一覧は 707番の歌のページを参照。
松は常緑と言うけれど、それゆえ変化に乏しく地味である。春や秋にはどうしても花や紅葉で季節を彩る草木に目が向く。それが雪が降り枯れ木ばかりが寂しくたたずむ時期、季節もこれ以上ないという年の果てになってはじめて常緑の松の存在感が出るという感じか。歌自体も地味だが、その中で "松も" の 「も」が効いている。
この歌に呼応している歌として、同じ「寛平の御時きさいの宮の歌合せ」の次の源宗于(むねゆき)の春の歌がある。どちらも現存する「寛平御時后宮歌合」に残っているが、そこではこの歌は 「年の暮れゆく 時にこそ」となっている。
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