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       題しらず 読人知らず  
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   梅の花  立ち寄るばかり  ありしより  人のとがむる  香にぞしみぬる
          
        梅の花に、ほんの少し立ち寄ったことにより、人がすぐに気づくほどの香りに染まった、という歌。

  "立ち寄るばかり ありしより" というフレーズが印象的だが、「より」の解釈が微妙である。 718番の読人知らずの歌には「ありしよりけに まづぞ恋しき」とあり、この場合は 「以前より(いっそう)」という感じだが、この梅の歌では 「より」が時間的な 「〜から」という感じだと少し不自然のような気がする。そこで手段/方法を表わすものとして 「〜によって」という意味でとらえておきたい。長くいたわけではないのに香が深く染み込んだということを "人のとがむる" という言葉をかぶせることにより、艶っぽく見せている。
 
( 2001/12/03 )   
 
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