題しらず | 読人知らず | |||
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七夕の織女の気持ちを詠った歌で、一年恋い続けてようやく逢う今宵は、天の川の霧が立ちこめ、夜が明けないようであって欲しい、という意味。朝が来なければ牽牛と別れずにいられるのに、ということである。それに対して古今和歌集の配列では、続けて 177番の友則の「渡りはてねば 明けぞしにける」という牽牛の失敗の歌を置いていて、少し意地悪なような、滑稽なような演出をしている。 この歌で "霧立ちわたり 明けずもあらなむ" と言っているのは、霧が夜明けになったことを知らせないで欲しいということだが、次の 「みちのくのうた」では、朝霧が立って夜が明けたとしてもあなたを行かせたくない、と詠っていて、しっとりとした情念を感じさせる。 |
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( 2001/11/19 ) (改 2004/02/23 ) |
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