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       題しらず 読人知らず  
202   
   秋の野に  人まつ虫の  声すなり  我かとゆきて  いざとぶらはむ
          
     
  • まつ虫 ・・・ スズムシあるいはマツムシ
  
秋の野に 「まつ虫」の声がする、自分を待っているのかと、さあ訪れてみよう、いう歌。 "人まつ虫の 声すなり" というフレーズがシンプルながら印象深い。

  「とぶらふ(訪ふ)」は、訪問する、見舞うということで、982番の読人知らずの歌でも「とぶらひきませ 杉たてる門」と使われている。ここでは 「ちょっと様子を見てみよう」というニュアンスである。似たような言葉で 「おとづる(訪る)」という言葉を使った歌の一覧については、327番の歌のページを参照。一つ前の 201番と同じ趣向の歌だが、「待つ」虫の声を 「呼ぶ」感じに見立てたこちらの方が軽やかで粋な感じがする。 「まつ虫」を詠った歌については 203番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/01 )   
(改 2004/03/07 )   
 
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