Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十八

       題しらず 読人知らず  
982   
   我が庵は  三輪の山もと  恋しくは  とぶらひきませ  杉たてる門
          
     
  • 庵 ・・・ 本来は草木で作った仮小屋のこと。質素な住まい。
  • とぶらひきませ ・・・ 訪ねていらっしゃい
  
私の庵は三輪山の麓、逢いたければ門にある杉の木を目印に訪ねていらっしゃい、という歌。

   「とぶらふ(訪ふ)」は、訪問する、見舞うということで、同じ言葉を使った 202番の読人知らずの「我かとゆきて いざとぶらはむ」という 「松虫」の歌が思い出される。似たような言葉で「おとづる(訪る)」という言葉を使った歌の一覧については、327番の歌のページを参照。 また、「恋しくは」という言葉を使った歌の一覧については 285番の歌のページを参照。

  ただ、考えようによっては三輪山には杉の木がたくさんあるので、せめてどんな杉かを言わなければわからないのではないか。例えば次の読人知らずの旋頭歌のように。

 
1009   
   初瀬川  ふる川の辺に  ふたもとある杉   年をへて  またもあひ見む  ふたもとある杉  
     
        この歌の次には同じ"我が庵は" という詠い出しではじまる 983番の喜撰法師の 「宇治山」の歌が置かれている。

 
( 2001/12/11 )   
(改 2004/03/09 )   
 
前歌    戻る    次歌