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       雪の降れるを見てよめる 凡河内躬恒  
329   
   雪降りて  人もかよはぬ  道なれや  あとはかもなく  思ひ消ゆらむ
          
     
  • あとはかもなく ・・・ 痕跡がのこらないほど
  • 思ひ消ゆ ・・・ 気がめいって元気がなくなる
  
自分の心は、雪が降って人も通わない道だろうか、希望の跡も見えずにすっかり落ち込んで、もうこのまま消えてしまいそうだ、という歌。雪の上に足跡がつかないことを、何のよりどころもない気持ちに合わせている。 「〜なれや」という言葉を使った歌の一覧は 225番の歌のページを参照。

  雪が降って "思ひ消ゆらむ" という表現は一つ前の次の忠岑の歌でも使われている。

 
328   
   白雪の  降りてつもれる  山里は  住む人さへや  思ひ消ゆらむ  
     
        どちらも「降る」と「消える」の間が狭すぎるような感じを受けるが、「雪は降るもの、消えるもの」というつながりによって詠っているのであろう。

 
( 2001/11/20 )   
(改 2004/01/14 )   
 
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