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 60首  
   凡河内躬恒 おほしこうちのみつね
 
 
   生年   不明    没年   不明
 父   ?    母   ?

古今和歌集の撰者の一人。
仮名序では「前の甲斐の少目」とされている。

−− 年代考 −−
894年(寛平 六)に甲斐権少目になったのが二十代後半と考えれば、生れは860年代か。 921年(延喜 二十一)の「京極御息所歌合」に歌があることから、少なくともその頃までは存命か。
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巻一  0030  春くれば 雁かへるなり 白雲の 道ゆきぶりに ことやつてまし  春歌上
巻一  0040  月夜には それとも見えず 梅の花 香をたづねてぞ 知るべかりける  春歌上
巻一  0041  春の夜の 闇はあやなし 梅の花 色こそ見えね 香やは隠るる  春歌上
巻一  0067  我が宿の 花見がてらに くる人は 散りなむのちぞ 恋しかるべき  春歌上
巻二  0086  雪とのみ 降るだにあるを 桜花 いかに散れとか 風の吹くらむ  春歌下
巻二  0104  花見れば 心さへにぞ うつりける 色にはいでじ 人もこそ知れ  春歌下
巻二  0110  しるしなき 音をも鳴くかな うぐひすの 今年のみ散る 花ならなくに  春歌下
巻二  0120  我が宿に 咲ける藤波 立ち返り すぎがてにのみ 人の見るらむ  春歌下
巻二  0127  梓弓 春たちしより 年月の いるがごとくも 思ほゆるかな  春歌下
巻二  0132  とどむべき ものとはなしに はかなくも 散る花ごとに たぐふ心か  春歌下
巻二  0134  今日のみと 春を思はぬ 時だにも 立つことやすき 花のかげかは  春歌下
巻三  0161  郭公 声も聞こえず 山彦は ほかになく音を 答へやはせぬ  夏歌
巻三  0164  郭公 我とはなしに 卯の花の うき世の中に 鳴き渡るらむ  夏歌
巻三  0167  塵をだに すゑじとぞ思ふ 咲きしより 妹と我が寝る 常夏の花  夏歌
巻三  0168  夏と秋と 行きかふ空の かよひぢは かたへ涼しき 風や吹くらむ  夏歌
巻四  0179  年ごとに あふとはすれど 七夕の 寝る夜の数ぞ 少なかりける  秋歌上
巻四  0180  七夕に かしつる糸の うちはへて 年のを長く 恋ひや渡らむ  秋歌上
巻四  0190  かくばかり 惜しと思ふ夜を いたづらに 寝て明かすらむ 人さへぞうき  秋歌上
巻四  0213  憂きことを 思ひつらねて 雁がねの 鳴きこそわたれ 秋の夜な夜な  秋歌上
巻四  0219  秋萩の 古枝に咲ける 花見れば もとの心は 忘れざりけり  秋歌上
巻四  0233  つま恋ふる 鹿ぞ鳴くなる 女郎花 おのがすむ野の 花と知らずや  秋歌上
巻四  0234  女郎花 吹きすぎてくる 秋風は 目には見えねど 香こそしるけれ  秋歌上
巻五  0277  心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置き惑はせる 白菊の花  秋歌下
巻五  0304  風吹けば 落つるもみぢ葉 水清み 散らぬ影さへ 底に見えつつ  秋歌下
巻五  0305  立ち止まり 見てをわたらむ もみぢ葉は 雨と降るとも 水はまさらじ  秋歌下
巻五  0313  道知らば たづねもゆかむ もみぢ葉を ぬさとたむけて 秋はいにけり  秋歌下
巻六  0329  雪降りて 人もかよはぬ 道なれや あとはかもなく 思ひ消ゆらむ  冬歌
巻六  0338  我が待たぬ 年はきぬれど 冬草の 枯れにし人は おとづれもせず  冬歌
巻七  0358  山高み 雲ゐに見ゆる 桜花 心のゆきて 折らぬ日ぞなき  賀歌
巻七  0360  住の江の 松を秋風 吹くからに 声うちそふる 沖つ白浪  賀歌
巻八  0382  かへる山 なにぞはありて あるかひは きてもとまらぬ 名にこそありけれ  離別歌
巻八  0383  よそにのみ 恋ひや渡らむ 白山の 雪見るべくも あらぬ我が身は  離別歌
巻八  0399  別るれど うれしくもあるか 今宵より あひ見ぬ先に 何を恋ひまし  離別歌
巻九  0414  消えはつる 時しなければ 越路なる 白山の名は 雪にぞありける  羇旅歌
巻九  0416  夜を寒み 置く初霜を はらひつつ 草の枕に あまた旅寝ぬ  羇旅歌
巻十一  0481  初雁の はつかに声を 聞きしより 中空にのみ 物を思ふかな  恋歌一
巻十二  0580  秋霧の 晴るる時なき 心には たちゐの空も 思ほえなくに  恋歌二
巻十二  0584  ひとりして 物を思へば 秋の夜の 稲葉のそよと 言ふ人のなき  恋歌二
巻十二  0600  夏虫を 何か言ひけむ 心から 我も思ひに もえぬべらなり  恋歌二
巻十二  0608  君をのみ 思ひねに寝し 夢なれば 我が心から 見つるなりけり  恋歌二
巻十二  0611  我が恋は ゆくへも知らず はてもなし あふをかぎりと 思ふばかりぞ  恋歌二
巻十二  0612  我のみぞ かなしかりける 彦星も あはですぐせる 年しなければ  恋歌二
巻十二  0614  たのめつつ あはで年ふる いつはりに こりぬ心を 人は知らなむ  恋歌二
巻十三  0636  長しとも 思ひぞはてぬ 昔より あふ人からの 秋の夜なれば  恋歌三
巻十三  0662  冬の池に すむにほ鳥の つれもなく そこにかよふと 人に知らすな  恋歌三
巻十三  0663  笹の葉に 置く初霜の 夜を寒み しみはつくとも 色にいでめや  恋歌三
巻十四  0686  枯れはてむ のちをば知らで 夏草の 深くも人の 思ほゆるかな  恋歌四
巻十五  0750  我がごとく 我を思はむ 人もがな さてもや憂きと 世をこころみむ  恋歌五
巻十五  0794  吉野川 よしや人こそ つらからめ はやく言ひてし ことは忘れじ  恋歌五
巻十六  0840  神無月 時雨に濡るる もみぢ葉は ただわび人の 袂なりけり  哀傷歌
巻十七  0929  風吹けど ところも去らぬ 白雲は 世をへて落つる 水にぞありける  雑歌上
巻十八  0956  世を捨てて 山にいる人 山にても なほ憂き時は いづち行くらむ  雑歌下
巻十八  0957  今さらに なにおひいづらむ 竹の子の うき節しげき 世とは知らずや  雑歌下
巻十八  0976  水の面に おふる五月の 浮草の うきことあれや 根を絶えて来ぬ  雑歌下
巻十八  0977  身を捨てて ゆきやしにけむ 思ふより 外なるものは 心なりけり  雑歌下
巻十八  0978  君が思ひ 雪とつもらば たのまれず 春よりのちは あらじと思へば  雑歌下
巻十九  1005  ちはやぶる 神無月とや 今朝よりは 雲りもあへず 初時雨...  雑体
巻十九  1015  むつごとも まだつきなくに 明けぬめり いづらは秋の 長してふ夜は  雑体
巻十九  1035  蝉の羽の 一重に薄き 夏衣 なればよりなむ ものにやはあらぬ  雑体
巻十九  1067  わびしらに ましらな鳴きそ あしひきの 山のかひある 今日にやはあらぬ  雑体

■ 詞書に名前が出てくる歌
巻十七  0880  かつ見れば うとくもあるかな 月影の いたらぬ里も あらじと思へば  雑歌上

   
 894年  寛平 六  二月 甲斐権少目
 907年  延喜 七  一月 丹波権大目 / 御厨子所
 911年  延喜 十一  一月 和泉権掾