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       もとやすのみこの、七十の賀のうしろの屏風によみてかきける 素性法師  
354   
   ふして思ひ  おきて数ふる  万代は  神ぞ知るらむ  我が君のため
          
        寝ては思い、起きては数えてみても「万代」は数え尽すことができません、それは神が用意したあなたのためのものなのです、という歌。同じ時に詠んだもう一つの素性の歌がこの歌の前に置かれていて、それと比べると言葉が固いが、いたわりの気持ちが同じように表れているように思える。

 
353   
   いにしへに  ありきあらずは  知らねども  千歳のためし    君にはじめむ  
     
        素性はこの歌で出てくる "神ぞ知るらむ" という言葉を 357番の藤原定国の四十の賀歌でも使っている。ちなみにどちらが先かと言えば、本康親王が亡くなったのが 901年で、藤原定国の四十の賀は 905年なので、この「万代」の歌の方が先であることがわかる。

 
( 2001/11/19 )   
(改 2003/12/03 )   
 
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