人の花つみしける所にまかりて、そこなりける人のもとに、のちによみてつかはしける | 紀貫之 | |||
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詞書の意味は、人々が花摘みをしている所に出向いて、そこにいた人のもとに、後から詠んで贈った、ということ。一つ前の 478番の忠岑の歌の詞書と同じく、任務として出向いたものか。 歌の意味は、山桜が霞の間からわずかに覗いた時のように、ほのかに見たあなたのことを恋しく思っています、ということで、一つ前の忠岑の歌の 「草のはつか」が「霞の間より ほのか」と変っているだけで、垣間見た女性への気持ちということではほとんど同じである。 「花つみ」と詞書にあり、普通はそれは野の草の花を摘むことであろうが、ここではその草に合わせず、花つながりで彼方の高みにある "山桜" としたところが、一つの趣向であろう。実際に相手が位が上の女性だったかどうかはわからないが、相手を高嶺の花と持ち上げていることは確かで、このあたりが自分が伏しているように見える一つ前の忠岑の歌との違いであろう。 |
( 2001/12/10 ) (改 2003/12/16 ) |
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