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       題しらず 読人知らず  
524   
   思ひやる  さかひはるかに  なりやする  惑ふ夢ぢに  あふ人のなき
          
     
  • 思ひやる ・・・ 思いを馳せる (思ひ遣る)
  • さかひ ・・・ 境界/場所
  
思いを馳せる場所が遠くなってしまったのか、夢路に惑う私の心は誰にも会うことがない、という歌。一つ前の 523番の歌から 「惑ふ」という言葉つながりで置かれている。

  現実であまりにも逢えないものだから、夢の中でも相手が遠のいてしまったのか、それによって夢の範囲が広がり道に迷ってしまった、という感じの歌である。 "あふ人" とは基本的に恋の相手であろうが、夢の途中 「あの人はどこにいますか」と尋ねようと思っても誰もいない、という虚無感を表していると見ておきたい。

  "さかひ" という言葉を使った歌には、羇旅歌に 413番の乙(おと)の「いづれみやこの さかひなるらむ」という歌があり、「思ひやる」という言葉を使った歌には、488番の「思ひやれども 行く方もなし」、980番の「思ひやる 越の白山 知らねども」という歌がある。

 
( 2001/11/27 )   
(改 2003/12/22 )   
 
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