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       題しらず 読人知らず  
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   雁の来る  峰の朝霧  晴れずのみ  思ひつきせぬ  世の中の憂さ
          
        雁が来る峰にかかる朝霧のように、晴れないばかりで悩みが尽きないこの世の憂さよ、という歌。

  昔から 「かりの
クル ミねのあさぎり」に 「胡桃」が入れられているという説があり、「古今和歌集全評釈(下)」 (1998 片桐洋一  講談社 ISBN4-06-208753-7) によれば、この歌は藤原輔相(かねみ)の「藤六集」という私家集に物名の歌として残っているそうである。

  "晴れずのみ" という言葉が固くひっかかるような感じがあるが、「〜ずのみ」という表現は万葉集・巻二十4312の大伴家持の七夕の歌に、次のようなものがある。

    秋草に  置く白露の  飽かずのみ  相見るものを  月をし待たむ

 
( 2001/11/20 )   
(改 2004/02/05 )   
 
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