Top
>
古今和歌集の部屋
>
巻一
歌たてまつれと仰せられし時によみてたてまつれる
紀貫之
26
青柳の 糸よりかくる 春しもぞ 乱れて花の ほころびにける
青柳 ・・・ 柳の歌語
よりかくる ・・・ 縒って掛ける
柳が若い芽を伸ばし、その細い糸で縫おうとしている春だから、花々は思い思いにつぼみをほころばせてきたのだな
、という歌。 "春しもぞ" の「し・も・ぞ」はそれぞれ強意を表わし、特に順接・逆接をあらわしているわけではない。花のつぼみがほころんで、それを糸で縫おうとする柳、というのでは平凡なので、順序を逆にして出したものであろう。そこに "乱れて" という言葉が生きてくる。
「乱れる」のは柳、という説もあるが、ここでは様々に開こうとしている花に、柳の葉が風で揺れている様子と見ておく。
ほころんでも縫ってくれる柳の糸がある春だからこそ、という感じか。この歌の "糸よりかくる" で使われている 「かく」という言葉を使った歌の一覧については
483番
の歌のページを参照。
( 2001/11/05 )
(改 2004/01/22 )
前歌
戻る
次歌