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       かへしもののうた 読人知らず  
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   青柳を  片糸によりて  うぐひすの  ぬふてふ笠は  梅の花笠
          
     
  • 青柳 ・・・ 柳の歌語
  • 片糸 ・・・ 縒り合わせる前の状態の糸
  
柳の葉を片糸に撚ってウグイスが縫うという笠は、梅の花笠、という言葉通りの歌である。詞書にある「かへしもののうた」の 「かへしもの」とは、何を表わすのかはっきりしていない。また、この 「かへしもののうた」が大きなくくりとして 「神あそびの歌」に分類されるものかどうかも不明。

  この歌は次のような催馬楽(さいばら:=民衆の歌を雅楽の調べにのせたもの)としても伝えられている。 「や」・「おけや」という合いの手が入ると、文字で読んだ場合、少し品の無い感じがする。

    青柳を 片糸に縒りて  おけや 鶯の おけや 鶯の 縫うといふ笠は おけや 梅の花笠 

 「青柳」ではじまる歌としては、春歌上に次の貫之の歌があり、この歌の "ぬふ" に対して 「ほころぶ」と当てたと見ても面白いかもしれない。

 
26   
   青柳の   糸よりかくる  春しもぞ  乱れて花の  ほころびにける
     
        「片糸」という言葉を使った歌には、483番の「片糸を こなたかなたに よりかけて」という読人知らずの歌がある。「〜てふ」という言葉を使った歌の一覧は、この歌を元としたと思われる 36番の「うぐひすの 笠にぬふてふ 梅の花」という源常(=東三条左大臣)の歌のページを参照。

 
( 2001/11/05 )   
(改 2004/02/23 )   
 
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