西大寺のほとりの柳をよめる | 僧正遍照 | |||
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浅緑色の糸をよりかけて、露を白珠のように貫いている春の柳よ、という歌である。 「春の柳」を最後にもってきて、仮想のイメージを優先させているようにも見える。 "春の柳か" の 「か」は詠嘆を表す終助詞である。 いわゆる「古今伝授」の 「三鳥」では、208番の読人知らずの歌や 306番の忠岑の歌に出てくる 「いなおほせ鳥」に加えて、この遍照の歌に続く次の二つの歌で詠われている鳥が 「どんな鳥か」ということが問題になっている。 |
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しかし、「いなおほせ鳥」と「呼子鳥」はともかくとして、「ももちどり」は多くの鳥ということで特に問題はなさそうである。そこで上記の三つの鳥を 「三鳥」というのは実はダミーであって、本当の「三鳥の秘伝」とは、26・27・28番で、「あさみドリ」「ももちドリ」「よぶこドリ」と続くのが面白いね、ということなのではないかと疑ってみたい。 また、詞書にある「西大寺のほとり」とは 「西大寺の近く」ということで、「ほとり」という言葉は古今和歌集の歌の中では使われていないが、詞書にはよく出てくる。それをまとめてみると次の通り。 |
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"糸よりかけて" の 「かく」という言葉が使われている歌の一覧については 483番の歌のページを参照。 |
( 2001/10/10 ) (改 2004/01/22 ) |
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