題しらず | 読人知らず | |||
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残りなく全部散るのがよいのだ、有りつづければこの世の中のものは概してその終りがつらくて嫌なものだから、という歌。桜を表に立てているために春歌下に置かれているが、その内容は雑歌下にある 953番の読人知らずの「うき世の中は あるかひもなし」という歌と似ている。 実際には 435番の僧正遍照の「散りぬれば のちはあくたに なる花を」という物名の歌にある通り、散り落ちた花びらは 「はての憂」い状態なのだが、この歌はその前の段階で、散る桜の美しさに目を奪われているために、そこまで思い至っていない。豪快に散る桜を "めでたき" という言葉を使って表しながら、後半が平凡で弱いが、その中を 「残りなく−ありて−はて」という言葉でなんとか繋ぎとめている感じである。 |
( 2001/11/15 ) (改 2003/10/14 ) |
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