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       題しらず 読人知らず  
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   月草に  衣はすらむ  朝露に  濡れてののちは  うつろひぬとも
          
     
  • 月草 ・・・ ツユクサ
  歌の意味は、
ツユクサの色に衣は摺り染めよう、朝露に濡れた後はその色が褪せてしまうとも、ということで、意味はわかりやすいが意図がわかりづらい歌である。万葉集とかぶっている歌の一つで、万葉集では巻七1351番の「寄草」の歌群の中にある。

  恋歌仕立てと考えると 「ツユクサの色に衣を染める」とは、より添って親しくなるということ、「朝露に濡れた後は色褪せてしまう」とは、朝別れて距離が遠くなることだろうか。歌の主が男性とすると 「夜通ってゆく道で衣はツユクサにこすれて色がつく、その思い出が朝帰る時には朝露で消えるとしても、とにかく行ってみよう」という感じで、逆に女性の立場の歌とすると 「この人の衣を家の庭のツユクサで染めてしまおう、そうすればたとえ帰る時に朝露で濡れてにじんでしまうとしても自分のマークがつくから」という感じか。

  「うつろふ」という言葉を使った歌の一覧については 45番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/29 )   
(改 2004/01/12 )   
 
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