志賀の山越えにてよめる | 紀秋岑 | |||
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沫雪の ほどろほどろに 降りしけば 奈良の都し 思ほゆるかも [ほどろほどろに=斑(まだら)に] この歌の場合 "ところもわかず" とあるので 「降りしく」は 「降り敷く」と考えられるが、次のように 「降り頻く (=絶え間なく降る)」と使われる場合もあり、紛らわしい。 |
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また、詞書に 「志賀の山越え」とあることから 「春にあたりが花で覆われるような時でも花とは無縁なあの巌にも」というニュアンスが含まれているようである。そして、直前の次の貫之の歌と並べられると、冬ごもりする草木に対して、冬ごもりしない巌と言っているようにも見える。 |
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紀秋岑の歌としては、他に夏歌に次の一首が採られているが、二十一代集の中にそれ以外の秋岑の歌は見つからない。 「巌にも咲く花」と 「声ふりたてて鳴く郭公」、この二つだけが紀秋岑という墓標に残された言葉であり、古今和歌集という墓地を訪れる人の中でも、立ち止まってくれる人はあまりいない。 |
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( 2001/12/11 ) (改 2003/12/01 ) |
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