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       雪のうちの梅の花をよめる 紀貫之  
336   
   梅の香の  降りおける雪に  まがひせば  誰かことごと  わきて折らまし
          
     
  • まがひせば ・・・ 入り混じってしまうとしたら (紛ひ)
  • ことごと ・・・ 別々に
  
梅の香りが近くの枝に積もった雪に入り混じってしまうとしたら、誰が梅の花のある枝をうまく区別して折ることができるだろうか、という歌。

  枝にちょこちょこと白いものが乗っている、見ただけでは雪だか花だかわからない、その香りを頼りに折りにゆくのだけれど、それさえ紛れてしまうとしたら、もうどれが花やらわかりません、という軽い感じの歌であろう。雪の中の梅なのでまだ季節は早く、実際に梅の花が香ることはないが、かつての梅の香りのことを思い出すと...という含みがあるのかもしれない。この歌の "わきて折らまし" は、続く 337番の 「木+毎=梅」という趣向の友則の歌でも使われている。 「わきて」という言葉を使った歌については、255番の歌のページを参照。

  季節を3/4周して次の藤原勝臣(かちおむ)の秋の歌の 「梅の枝」と合わせて見るのも面白いかもしれない。

 
255   
   同じ枝を  わきて 木の葉の  うつろふは  西こそ秋の  はじめなりけれ
     
        "わきて折らまし" の 「まし」は反実仮想の助動詞で、その 「まし」が使われている歌の一覧は 
46番の歌のページを参照。

 
( 2001/08/22 )   
(改 2004/02/26 )   
 
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