Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻七

       内侍のかみの、右大将藤原の朝臣の四十の賀しける時に、四季のゑかけるうしろの屏風にかきたりけるうた 壬生忠岑  
361   
   千鳥鳴く  佐保の河霧  立ちぬらし  山の木の葉も  色まさりゆく
          
        この歌は賀歌に置かれている藤原満子が兄の藤原定国の四十の賀をした時(905年二月)の屏風絵に付けられた歌群の中の一つで、古今和歌集には明示的に作者名が記されていないが、「拾遺和歌集」巻三186に 「忠岑」とあり、「忠岑集」にも含まれているので忠岑の歌とされる。ただし、「拾遺和歌集」では最後の句が 「色かはりゆく」となっている。

  
千鳥の鳴く佐保の河霧が立ちのぼっているようだ、山の木の葉もそれに合わせて色が深くなっている、という歌。賀歌としては 「千鳥」がそのシンボルであろうか。345番の読人知らずの歌で 「八千代とぞ鳴く」とされ、水辺と山というお膳立ても似ていると言えば似ている。 「〜ぬらし」というかたちが使われている歌の一覧は 192番の歌のページを参照。

  古今和歌集の中で他に 「河霧」を使った歌としては、恋歌一に次の読人知らずの歌がある。

 
513   
   朝な朝な  立つ河霧の   空にのみ  うきて思ひの  ある世なりけり
     
( 2001/09/17 )   
(改 2004/03/10 )   
 
前歌    戻る    次歌