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 36首  
   壬生忠岑 みぶのただみね
 
 
   生年   不明    没年   不明
 父   従五位下 壬生安綱    母   ?

古今和歌集の撰者の一人。
仮名序では「右衛門の府生」とされている。後撰和歌集・巻二80の紀貫之の歌の詞書から、左近衛番長であったことがわかり、1003番の歌から、古今和歌集の成立時頃に、左近衛番長から右衛門府生になったと思われる。

−− 年代考 −−
1003番の歌で 「宮仕えをして三十年になる」と言っていることから、その歌が 900年代初頭のものであり、二十歳前後から数えて三十年とすれば、生れは 850年代あたりか。
没年については不明。 「忠岑集」に 907年(延喜 7)九月の 「大井川行幸」の歌と序文があることから、少なくともその頃までは存命であったことがわかる。
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巻一  0011  春きぬと 人は言へども うぐひすの 鳴かぬかぎりは あらじとぞ思ふ  春歌上
巻三  0157  くるるかと 見れば明けぬる 夏の夜を あかずとや鳴く 山郭公  夏歌
巻三  0163  昔べや 今も恋しき 郭公 ふるさとにしも 鳴きてきつらむ  夏歌
巻四  0183  今日よりは 今こむ年の 昨日をぞ いつしかとのみ 待ち渡るべき  秋歌上
巻四  0194  久方の 月の桂も 秋はなほ もみぢすればや 照りまさるらむ  秋歌上
巻四  0214  山里は 秋こそことに わびしけれ 鹿の鳴く音に 目を覚ましつつ  秋歌上
巻四  0235  人の見る ことやくるしき 女郎花 秋霧にのみ 立ち隠るらむ  秋歌上
巻四  0236  ひとりのみ ながむるよりは 女郎花 我が住む宿に 植ゑて見ましを  秋歌上
巻五  0258  秋の夜の 露をば露と 置きながら 雁の涙や 野辺を染むらむ  秋歌下
巻五  0263  雨降れば 笠取り山の もみぢ葉は 行きかふ人の 袖さへぞてる  秋歌下
巻五  0296  神なびの みむろの山を 秋ゆけば 錦たちきる 心地こそすれ  秋歌下
巻五  0306  山田もる 秋のかりいほに 置く露は いなおほせ鳥の 涙なりけり  秋歌下
巻六  0327  み吉野の 山の白雪 踏みわけて 入りにし人の おとづれもせぬ  冬歌
巻六  0328  白雪の 降りてつもれる 山里は 住む人さへや 思ひ消ゆらむ  冬歌
巻七  0361  千鳥鳴く 佐保の河霧 立ちぬらし 山の木の葉も 色まさりゆく  賀歌
巻十  0425  袂より はなれて玉を つつまめや これなむそれと うつせ見むかし  物名
巻十  0462  夏草の 上はしげれる 沼水の 行く方のなき 我が心かな  物名
巻十一  0478  春日野の 雪間をわけて おひいでくる 草のはつかに 見えし君はも  恋歌一
巻十二  0566  かきくらし 降る白雪の 下ぎえに 消えて物思ふ ころにもあるかな  恋歌二
巻十二  0586  秋風に かきなす琴の 声にさへ はかなく人の 恋しかるらむ  恋歌二
巻十二  0592  たぎつ瀬に 根ざしとどめぬ 浮草の 浮きたる恋も 我はするかな  恋歌二
巻十二  0601  風吹けば 峰にわかるる 白雲の 絶えてつれなき 君が心か  恋歌二
巻十二  0602  月影に 我が身をかふる ものならば つれなき人も あはれとや見む  恋歌二
巻十二  0609  命にも まさりて惜しく あるものは 見はてぬ夢の さむるなりけり  恋歌二
巻十三  0625  有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし  恋歌三
巻十三  0628  陸奥に ありと言ふなる 名取川 なき名とりては くるしかりけり  恋歌三
巻十六  0835  寝るが内に 見るをのみやは 夢と言はむ はかなき世をも うつつとは見ず  哀傷歌
巻十六  0836  瀬をせけば 淵となりても 淀みけり 別れを止むる しがらみぞなき  哀傷歌
巻十六  0839  時しもあれ 秋やは人の 別るべき あるを見るだに 恋しきものを  哀傷歌
巻十六  0841  藤衣 はつるる糸は わび人の 涙の玉の 緒とぞなりける  哀傷歌
巻十六  0843  墨染めの 君が袂は 雲なれや 絶えず涙の 雨とのみ降る  哀傷歌
巻十七  0917  住吉と 海人は告ぐとも 長居すな 人忘れ草 おふと言ふなり  雑歌上
巻十七  0928  落ちたぎつ 滝の水上 年つもり 老いにけらしな 黒き筋なし  雑歌上
巻十九  1003  呉竹の 世よのふること なかりせば いかほの沼の いかにして ...  雑体
巻十九  1004  君が代に あふ坂山の 岩清水 こ隠れたりと 思ひけるかな  雑体
巻十九  1036  隠れ沼の 下よりおふる ねぬなはの ねぬなは立てじ くるないとひそ  雑体