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       題しらず 読人知らず  
546   
   いつとても  恋しからずは  あらねども  秋の夕べは  あやしかりけり
          
     
  • あやし ・・・ 変なこと (怪し)
  
いつだって恋しくないことはないが、秋の夕べは特に気持ちが落ち着かない、という歌。 "秋の夕べは  あやしかりけり" というフレーズの艶っぽさが目立つ歌であり、逆に言えばそれだけのシンプルな歌であるとも言える。その他の歌で「あやし」という言葉を使ったものには、480番の在原元方の「たよりにも あらぬ思ひの あやしきは」という歌がある。

  秋歌上の 189番にある「いつはとは  時はわかねど  秋の夜ぞ」という読人知らずの歌と比べてみると、 "いつとても" =「いつはとは  時はわかねど」であり、内容もほとんど同じである。また言葉遣いという点からは、次の読人知らずの歌との類似も見られる。

 
188   
   ひとり寝る  床は草葉に  あらねども    秋くる宵は    露けかりけり  
     

( 2001/11/15 )   
(改 2003/12/23 )   
 
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