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       寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた 読人知らず  
570   
   わりなくも  寝ても覚めても  恋しきか  心をいづち  やらば忘れむ
          
     
  • わりなくも ・・・ 道理に合わないことに
  • いづち ・・・ どちらに
  
どういうわけで寝ても覚めても恋しいのだろう、どこに心を向ければ忘れることができるだろうか、という歌。 「わりなし」は 「あやなし」と似ているが、「わり」は「理(ことわり)」から来ていると言われ、語感的には 「どうしてこうなのだ」という感じが強い。一方の「あやなし」の 「あや」は 「文(あや)」であり模様ということの他、筋道のことを指し、「無意味だ、無益だ」というニュアンスである。

  「あやなし」という言葉が使われている歌の一覧は 477番の歌のページを参照。一方、「わりなし」が使われている他の歌としては、恋歌四に次の清原深養父の歌がある。

 
685   
   心をぞ  わりなきものと   思ひぬる  見るものからや  恋しかるべき
     

( 2001/11/22 )   
(改 2004/03/14 )   
 
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