Top
>
古今和歌集の部屋
>
巻十二
寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた
藤原興風
569
わびぬれば しひて忘れむと 思へども 夢と言ふものぞ 人だのめなる
人だのめ ・・・ 人をあてにさせる
寂しく辛い気持ちでいるので、無理にでも忘れようと思うけれど、夢というものは人に期待をもたせるものだ
、という歌。 "人だのめ" という言葉が、現代の 「人頼み」(=相手次第)という言葉を連想させるが、それとは意味とは異なるので、少しわかりづらい。現実では逢えなくとも夢でなら逢えるかもしれない、現実では冷たくあしらわれても夢の中では親しくしてくれるかもしれない、そんな期待を持たせるから 「夢」というものがある限りあの人を忘れられない、という歌である。
夢のことを詠った歌は古今和歌集の中にも数多いが、同じ恋歌二にある次の素性法師の歌と共に見ておきたい。
575
はかなくて 夢にも人を 見つる夜は あしたの床ぞ 起きうかりける
「わぶ」という言葉を使った歌の一覧は
937番
の歌のページを、「しひて」を使った歌の一覧は
133番
の歌のページを、 「思へども」を使った歌の一覧は
373番
の歌のページを参照。
( 2001/11/27 )
(改 2004/02/17 )
前歌
戻る
次歌