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- あやなく ・・・ 無意味に/無駄に
- しるべ ・・・ 道案内
これは一つ前の 476番の業平の歌に対する返しである。知っているとか知らないとか、無駄なのはそうして考えていることであって、もし恋しい気持ちがあるならそれが案内となるでしょうに、という歌。元の業平の歌の言葉をうまくとらえていてスキのない返歌である。
「見ずもあらず 見もせぬ」に対して "知る知らぬ" と返し、「あやなく今日や ながめくらさむ」に対して "なにかあやなく わきて言はむ" と答えて、「知る−知らぬ−しるべ」と 「し」の音をつないで 「思ひのしるべ」で結んでいる。歌の前半では業平の求愛に積極的にOKを出しているようで、後半で「一途な思いがあるならば」と押さえている点もわかりやすい。 「思い」を道しるべとして辿って来なければ 「今日」どころか永遠に迷うばかりですよ、とたしなめているような感じでもある。
「わきて」という言葉を使った歌については、255番の歌のページを参照。 "思ひ" の「ひ」には 「火」が掛けられていて、それを 「しるべ」とせよ、と言っていると見る説もある。 「しるべ」という言葉を使った歌の一覧は 13番の歌のページを参照。
この歌と 476番の業平の歌でやり取りされている 「あやなし」という言葉が使われている歌には次のようなものがある。
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