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       寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた 読人知らず  
571   
   恋しきに  わびてたましひ  惑ひなば  むなしき殻の  名にや残らむ
          
        恋しい気持ちに嘆くあまり魂が彷徨い出してしまったとしたら、この身は空しい抜け殻として噂になって残るでしょうか、という歌。 "殻" (から)を 「空(から)」に掛けて 「むなしい空の名」(=事実のない噂)ということを言っている。676番の伊勢の「塵ならぬ名の 空に立つらむ」という歌に通じるものがあるが、「名が残る」という表現は古今和歌集の他の歌にはない。

  「恋死ぬ」ということの一つのバリエーションのようにも見え、同じ出だしを持つ 517番の 「恋しきに 命をかふる ものならば」という歌を少しひねったような感じでもある。

  「わぶ」という言葉を使った歌の一覧は 937番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/27 )   
(改 2004/01/14 )   
 
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