Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十三

       題しらず 在原業平  
622   
   秋の野に  笹わけし朝の  袖よりも  あはでこし夜ぞ  ひちまさりける
          
     
  • ひち ・・・ 濡れる (漬つ)
  
秋の野の笹を分けて歩いた朝よりも、逢えずに帰って来た夜の方が袖が多く濡れた、という歌。
前半は単に濡れ具合の比較元として修飾的に言っているようにも見えるが、 "笹わけし朝の" という言葉遣いから、やはり 「朝帰り」の時のことを指していると思われる。

  「笹」を使った歌としては、563番の「ひとり寝る 我が衣手ぞ さえまさりける」という友則の歌が思い出される。

 
( 2001/11/21 )   
(改 2004/01/01 )   
 
前歌    戻る    次歌