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       題しらず 読人知らず  
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   あはぬ夜の  降る白雪と  つもりなば  我さへともに  けぬべきものを
          
        この歌には「このうたは、ある人のいはく、柿本の人麿がうたなり」という左注がついている。

  
逢わない夜が降る雪のように積もり重なってゆくとするなら、私もそれと共に消えてしまうに違いありません、という歌。 「雪」と消えるイメージは微妙だが、"あはぬ夜" と "降る白雪" という言葉の組み合わせが美しい歌である。

  雪が降り、積もり、消える、という歌としては、328番に「白雪の 降りてつもれる 山里は」という歌がある。それと同じでこの歌の 「消ゆ」も積もった雪の中に消える、ということではなく、雪が溶けて消えるという意味であると思われる。 ちなみに "けぬべき"の 「け」は 「消ゆ」の連用形である 「きえ」が一字になったもの。また、この歌からは 978番の躬恒の「君が思ひ 雪とつもらば たのまれず」という歌も思い出される。 「さへ」を使った歌の一覧は 122番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/05 )   
(改 2004/02/10 )   
 
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