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       題しらず   
640   
   しののめの  別れを惜しみ  我ぞまづ  鳥より先に  なきはじめつる
          
     
  • しののめ ・・・ 明け方。東の空が白らむ時間帯。 (東雲)
  
明け方の別れが惜しいので、鳥が鳴くよりも早く、まず自分が泣けてきたことです、という歌。

  「鳥」は、普通に考えればニワトリのことであろう。オスしか鳴かないというのはこの歌とはあまり関係なさそうだが、ニワトリではどうも品がないと思う場合は、小鳥と考えてもよさそうである。鳥たちがまだ起き出していない時間から、別れの朝のことを思って泣きはじめるという意味の歌である。

  「しののめの」という言葉ではじまる歌には、同じ恋歌三に次の読人知らずの歌があり、156番の貫之の歌でも「郭公 鳴くひと声に 明くるしののめ」と使われている。

 
637   
   しののめの   ほがらほがらと  明けゆけば  おのがきぬぎぬ  なるぞかなしき
     

( 2001/12/05 )   
(改 2004/02/23 )   
 
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