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       題しらず 読人知らず  
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   いつはりと  思ふものから  今さらに  たがまことをか  我はたのまむ
          
        どうせ偽りの言葉だとは思うけれども、今更他の誰の誠意を信じて頼みにできるというのでしょう、という歌。相手にすがっているように見えるが、この歌の焦点は、やはり "いつはりと 思ふものから" という部分にあって、 "今さらに" という言葉からも相手を恨む気持ちの方が強く感じられる。 
「いつはり」という言葉が使われている歌については 576番の歌のページを参照。

  この歌の "思ふものから" の 「ものから」は続くの内容から 「〜だけれども」という逆接であることがわかるが、「ものから」という言葉は 「〜だから」という順接で使われることもある。 「ものから」が使われている歌の一覧は 147番の歌のページを参照。

  また、この歌の 「たのむ」は四段活用の 「頼む」で 「あてにする」ということだが、「たのむ」には 
「あてにさせる」という意味の下二段活用の 「頼む」もある。 「たのむ」という言葉が使われている歌の一覧については 613番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/26 )   
(改 2004/03/05 )   
 
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