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       題しらず 読人知らず  
725   
   思ふより  いかにせよとか  秋風に  なびくあさぢの  色ことになる
          
     
  • あさぢ ・・・ イネ科の多年草であるチガヤがまばらにある様子 (浅茅)
  
思い慕うより他にどうしろというのか、秋風になびく浅茅の色が変わるように、あなたの心は心変わりしてしまった、という意味。 "秋風に なびくあさぢ" の部分には 「飽き−なびく−浅い(心)」が掛けられて、浅茅から連想される、さびれた様子が相手の心の景色と重なっている。

  「なびく」という言葉を使った歌には 565番に「川の瀬に なびく玉藻の み隠れて」という 「忍ぶ恋」の歌があり、この歌と並べてみるとその友則の歌の美しさが引き立つ感じがする。

  チガヤ(ここでは浅茅)の葉の色はススキなどよりも赤くなることで知られ、その紅葉をふまえたものとして、小野小町姉(おののこまちがあね)に次の歌がある。

 
790   
   時すぎて  枯れゆく小野の  あさぢ には  今は思ひぞ  絶えずもえける
     
        「秋風」を詠った歌の一覧は 85番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/26 )   
(改 2004/03/11 )   
 
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