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       題しらず 読人知らず  
744   
   あふまでの  形見も我は  何せむに  見ても心の  なぐさまなくに
          
     
  • 何せむに ・・・ 何をしようというものか
  
次に逢うまでの形見も、今の私には何の意味もありません、見ても心がなぐさまないのですから、という歌。 「形見」はそれを見て人を偲ぶものだが、逢いたい気持ちで一杯の自分は、そんな落ち着いた気持ちにはなれません、という感じか。二つ先の読人知らずの歌では、さらに 「形見」は次のように詠われている。 「形見」という言葉を使った歌の一覧は 743番の歌のページを参照。

 
746   
   形見こそ    今はあたなれ   これなくは  忘るる時も  あらましものを
     
        最後の "なぐさまなくに" の「なくに」は、文末/区切りにあって否定の詠嘆を表す。 "何せむに" 
という 「やりきれなさ」からの詠嘆であると見たい。 「〜なくに」という言葉を使った歌の一覧は 19番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/08 )   
(改 2004/02/25 )   
 
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