古歌にくはへてたてまつれる長歌 | 壬生忠岑 | |||
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のくだりも、要は自分が若返りたいということのオマケ扱いである。 特に "かくはあれども 照る光 近きまもりの 身なりしを 誰かは秋の くる方に あざむきいでて み垣より とのへもる身の み垣もり をさをさしくも 思ほえず" という部分は、近衛から衛門府の衛士に移されたことの不満を述べたもので、見苦しい感じもする。 "けだものの 雲に吠えけむ 心地して" とは 「漢の劉安が現世を去った時、中庭に残された丹薬の残った器をニワトリと犬がなめて昇天した。その時からニワトリは天上に鳴き、犬は雲中に吠えるようになった。」という「神仙伝」の巻四・劉安の最後に書かれた故事を元にしており、ここでそのような心地がした、と言っているのは 「思いがけない恩恵で、天にも昇るほど嬉しかった」ということであろう。 様々な修飾がなされているとはいえ、やはり全体のトーンが低いので、仮名序で言うところの 「さかしおろかなりと、知ろしめしけむ」という判別があったとすれば、この歌はやはり 「おろかなり」の方に入れられてしまっても仕方がないと思われる。 |
( 2001/12/11 ) (改 2004/03/11 ) |
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