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       題しらず 僧正遍照  
1016   
   秋の野に  なまめきたてる  女郎花  あなかしかまし  花もひと時
          
     
  • あな ・・・ ああ (感嘆詞)
  • かしかまし ・・・ 騒がしい
  
秋の野に艶っぽく立っているオミナエシたちは、何とも騒がしいことだ、美しく咲く花も一時のものなのに、という歌。 "なまめきたてる" の「なまめく(艶く)」はオミナエシを女性に譬えたものであるが、 "花もひと時" という言い方からは、秋の野に遊ぶ女性たちをオミナエシになぞらえたものと見ることもできる。どちらにしても風に揺れる花を喋りながら、はしゃぐ姿と見たものであろう。 「あな」という感嘆詞が使われている歌の一覧については 426番の歌のページを参照。

  遍照にはオミナエシの歌が多いイメージがあるが、実際には 226番の「我おちにきと 人にかたるな」の歌とこの歌の二首だけである。この歌に続く次の読人知らずの誹諧歌などが脇を固めているために、そういう印象があるのだろう。

 
1017   
   秋くれば  野辺にたはるる  女郎花   いづれの人か  つまで見るべき
     

( 2001/11/19 )   
(改 2004/02/13 )   
 
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