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 14首  
   僧正遍照 (そうじやう)へんぜう
 
 
   生年   816年(弘仁 七)    没年   890年(寛平 二)
 父   大納言・正三位 良岑安世    母   ?

遍昭とも書かれる。僧になる前の名前が良岑宗貞(よしみねのむねさだ)。真名序では 「華山僧正」と書かれている。
素性法師の父。
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■ 良岑宗貞 名義の歌
巻二  0091  花の色は 霞にこめて 見せずとも 香をだにぬすめ 春の山風  春歌下
巻十七  0872  天つ風 雲のかよひぢ 吹きとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ  雑歌上
巻十八  0985  わび人の 住むべき宿と 見るなへに 嘆きくははる 琴の音ぞする  雑歌下

■ 遍照 名義の歌
巻一  0027  浅緑 糸よりかけて 白露を 珠にもぬける 春の柳か  春歌上
巻二  0119  よそに見て かへらむ人に 藤の花 はひまつはれよ 枝は折るとも  春歌下
巻三  0165  はちす葉の にごりにしまぬ 心もて 何かは露を 珠とあざむく  夏歌
巻四  0226  名にめでて 折れるばかりぞ 女郎花 我おちにきと 人にかたるな  秋歌上
巻四  0248  里は荒れて 人はふりにし 宿なれや 庭もまがきも 秋の野らなる  秋歌上
巻五  0292  わび人の わきて立ち寄る 木のもとは たのむかげなく もみぢ散りけり  秋歌下
巻七  0348  ちはやぶる 神や切りけむ つくからに 千歳の坂も 越えぬべらなり  賀歌
巻八  0392  夕暮れの まがきは山と 見えななむ 夜は越えじと 宿りとるべく  離別歌
巻八  0394  山風に 桜吹きまき 乱れなむ 花のまぎれに 君とまるべく  離別歌
巻十  0435  散りぬれば のちはあくたに なる花を 思ひ知らずも 惑ふてふかな  物名
巻十五  0770  我が宿は 道もなきまで 荒れにけり つれなき人を 待つとせしまに  恋歌五
巻十五  0771  今こむと 言ひて別れし あしたより 思ひくらしの 音をのみぞ鳴く  恋歌五
巻十六  0847  みな人は 花の衣に なりぬなり 苔の袂よ 乾きだにせよ  哀傷歌
巻十九  1016  秋の野に なまめきたてる 女郎花 あなかしかまし 花もひと時  雑体

■ 詞書に名前が出てくる歌
巻二  0074  桜花 散らば散らなむ 散らずとて ふるさと人の きても見なくに  春歌下
巻四  0227  女郎花 憂しと見つつぞ ゆきすぐる 男山にし 立てりと思へば  秋歌上
巻五  0309  もみぢ葉は 袖にこき入れて もていでなむ 秋はかぎりと 見む人のため  秋歌下
巻七  0347  かくしつつ とにもかくにも ながらへて 君が八千代に あふよしもがな  賀歌

   
 816年  弘仁 七  生
 844年  承和 十一  一月 蔵人
 845年  承和 十二  一月 従五位下
 二月 左兵衛佐
 846年  承和 十三  一月 備前介 / 左近少将
 849年  嘉祥 二  一月 蔵人頭
 850年  嘉祥 三  一月 従五位上
 三月 出家
 879年  元慶 三  権僧正
 885年  仁和 元  十月 僧正
 890年  寛平 二  一月 没 (七十五歳)