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       題しらず 大輔  
1056   
   なげきこる  山とし高く  なりぬれば  つらづゑのみぞ  まづつかれける
          
     
  • なげき ・・・ 投げ木 (=焚き木)
  • こる ・・・ 木を切る (樵る)
  • つらづゑ ・・・ 頬づえ
  
「なげき」が増えて山のように高くなったので、まずは頬づえばかり、つくありさまとなっています、という歌。大輔(たいふ)は生没年不詳。但馬守であった源弼(たすく)の娘と言われている。古今和歌集に採られている歌はこの一首のみ。

  「投げ木−嘆き」を掛けている。 "山とし" と 「と」が入っているので、「なげき」を切る山が高いのではなく、「なげき」が積まれて山となる、ということである。 「木−杖」のつながりから、険しい山道で杖をつくイメージで、思い通りに進めない恋に頬づえをついてばかりいる自分の姿を詠っている。 
"まづ" とあるのは、何はさておき、という感じか。杖の歌といえば、次の僧正遍照の 「銀(しろがね)の杖」の歌が連想される。

 
348   
   ちはやぶる  神や切りけむ  つくからに   千歳の坂も  越えぬべらなり
     

( 2001/12/07 )   
(改 2004/02/19 )   
 
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