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       とりもののうた 読人知らず  
1076   
   まきもくの  あなしの山の  山びとと  人も見るがに  山かづらせよ
          
     
  • まきもくの ・・・ あなしの山の枕詞 (巻向の)
  • 山かづら ・・・ ヒカゲノカヅラ科のヒカゲノカヅラ
  
「あなしの山」に住む山人と見まがうばかりに「山かづら」を身に付けよ、という歌。「葛(かづら)」用の「採物」の歌である。 「採物」については 1074番の歌のページを参照。

  "あなしの山" は現在の奈良県桜井市大字穴師(あなし)および大字辻あたりの山地で、纒向(まきむく)川を挟んで、南に三輪山、南東に巻向山がある。 "人も見るがに"の 「がに」は 「〜するほどに」というニュアンスを表す接続助詞。また、「がに」は終助詞として 「(そうすれば)〜だろうに」という意味を表すこともある。

 「がに」を使った歌には次のようなものがある。

 
     
349番    老いらくの  来むと言ふなる 道まがふがに  在原業平
829番    わたり川  水まさりなば かへりくるがに  小野篁
1076番    山びとと  人も見るがに 山かづらせよ  読人知らず


 
( 2001/11/19 )   
(改 2004/02/22 )   
 
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