1069 |
新しき 年のはじめに かくしこそ 千歳をかねて 楽しきをつめ |
読人知らず |
1070 |
しもとゆふ かづらき山に 降る雪の 間なく時なく 思ほゆるかな |
読人知らず |
1071 |
近江より 朝立ちくれば うねの野に たづぞ鳴くなる 明けぬこの夜は |
読人知らず |
1072 |
水くきの 岡のやかたに 妹とあれと 寝ての朝けの 霜の降りはも |
読人知らず |
1073 |
しはつ山 うちいでて見れば 笠ゆひの 島こぎ隠る 棚なし小舟 |
読人知らず |
1074 |
神がきの みむろの山の さかき葉は 神のみまへに しげりあひにけり |
読人知らず |
1075 |
霜やたび 置けど枯れせぬ さかき葉の たち栄ゆべき 神のきねかも |
読人知らず |
1076 |
まきもくの あなしの山の 山びとと 人も見るがに 山かづらせよ |
読人知らず |
1077 |
み山には あられ降るらし と山なる まさきのかづら 色づきにけり |
読人知らず |
1078 |
陸奥の 安達の真弓 我が引かば 末さへよりこ しのびしのびに |
読人知らず |
1079 |
我が門の いたゐの清水 里遠み 人しくまねば み草おひにけり |
読人知らず |
1080 |
ささのくま ひのくま川に 駒とめて しばし水かへ かげをだに見む |
読人知らず |
1081 |
青柳を 片糸によりて うぐひすの ぬふてふ笠は 梅の花笠 |
読人知らず |
1082 |
まがねふく 吉備の中山 帯にせる 細谷川の 音のさやけさ |
読人知らず |
1083 |
みまさかや 久米のさら山 さらさらに 我が名は立てじ 万代までに |
読人知らず |
1084 |
美濃の国 せきの藤川 絶えずして 君につかへむ 万代までに |
読人知らず |
1085 |
君が代は かぎりもあらじ 長浜の 真砂の数は 読みつくすとも |
読人知らず |
1086 |
近江のや 鏡の山を 立てたれば かねてぞ見ゆる 君が千歳は |
大友黒主 |
1087 |
阿武隈に 霧立ちくもり 明けぬとも 君をばやらじ 待てばすべなし |
読人知らず |
1088 |
陸奥は いづくはあれど 塩釜の 浦こぐ舟の 綱手かなしも |
読人知らず |
1089 |
我が背子を みやこにやりて 塩釜の まがきの島の 松ぞ恋しき |
読人知らず |
1090 |
をぐろさき みつの小島の 人ならば みやこのつとに いざと言はましを |
読人知らず |
1091 |
みさぶらひ みかさと申せ 宮城野の この下露は 雨にまされり |
読人知らず |
1092 |
最上川 のぼればくだる 稲舟の いなにはあらず この月ばかり |
読人知らず |
1093 |
君をおきて あだし心を 我がもたば 末の松山 浪も越えなむ |
読人知らず |
1094 |
こよろぎの 磯たちならし 磯菜つむ めざしぬらすな 沖にをれ浪 |
読人知らず |
1095 |
つくばねの このもかのもに かげはあれど 君が御影に ますかげはなし |
読人知らず |
1096 |
つくばねの 峰のもみぢ葉 落ちつもり 知るも知らぬも なべてかなしも |
読人知らず |
1097 |
甲斐がねを さやにも見しか けけれなく 横ほりふせる 小夜の中山 |
読人知らず |
1098 |
甲斐がねを ねこし山こし 吹く風を 人にもがもや ことづてやらむ |
読人知らず |
1099 |
をふのうらに 片枝さしおほひ なる梨の なりもならずも 寝てかたらはむ |
読人知らず |
1100 |
ちはやぶる 賀茂のやしろの 姫小松 よろづ世ふとも 色はかはらじ |
藤原敏行 |