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       うぐひすの花の木にて鳴くをよめる 凡河内躬恒  
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   しるしなき  音をも鳴くかな  うぐひすの  今年のみ散る  花ならなくに
          
     
  • しるしなき ・・・ 効果が無い (験なき)
  
効果のない声を上げて鳴いているよ、ウグイスは、今年だけ散る花でもないのに、という歌。

  「音を泣く/音に泣く」は声を上げて泣くこと。全体は 「ウグイスが散る花を惜しむ」という約束事に乗っているが、そのトーンは最後まで冷たい。「どうせ毎年散る花さ、お前ごときがどう鳴こうとも」というダークな感じさえ受ける。その意味でこの歌は、直前の 109番まで五つ続いた 「散る花とウグイス」の歌群の中では異質な歌である。

  "花ならなくに" の 「なくに」は 「花ならなくに−しるしなき音をも鳴くかな」という倒置として、「花でないのに」という逆接と見ておく。 「〜なくに」という言葉を使った歌の一覧は 19番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/15 )   
(改 2004/01/12 )   
 
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