亭子院の御屏風のゑに、川わたらむとする人のもみぢの散る木のもとに馬をひかへて立てるをよませたまひければつかうまつりける | 凡河内躬恒 | |||
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詞書の意味は、「亭子院の屏風絵に、川を渡ろうとする人が紅葉の散る木の下で馬を牽いて立っているものがあったのを詠ませた時に出した」歌ということ。亭子院は宇多天皇の御所。 歌の意味は、立ち止まり、さあゆっくり見てから渡ろう、紅葉の葉は雨のように降っても川の水かさは増さないだろうから、急ぐこともあるまい、という歌。 "見てを" の「を」は、224番の 「濡れてをゆかむ」と同じで、「さあ」という気持ちを表す間投助詞。 ひらめき一発で、ササッと作り上げたような感じの軽い歌である。ある意味、躬恒の会心の作だったのではないかと想像される。 |
( 2001/11/29 ) (改 2003/11/27 ) |
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