雪の木に降りかかれりけるをよめる | 紀貫之 | |||
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冬で自然も自分も活動を止めている、そんな時、思いもかけなかったことに、木の間から、花と見まがうばかりに雪が降っているではないか、という歌。 この歌の "思ひかけぬ" は、現代でいう「思いがけず」とほぼ同じ意味と見てよいだろう。 「(思ひを)かく」という言葉の使われている歌の一覧については 483番の歌のページを参照。木の間から見える降る雪は、咲く花ではなく散る花であり、「灰色の背景に黒い木の影、そこに降っている白い雪」という地味ながらも絵になる材料が揃っている。 言葉の並べ方としては、 "冬ごもり 思ひかけぬを" というはじめの二つの句の出し方が大胆であり、「冬ごもり」が 「春がすみ」に、最後の 「降りける」が 「散りける」に錯綜して見えるような不思議な感じの歌である。 この歌では雪を横から "木の間" に見ているとも、木の下にいて "木の間" から雪が降り落ちてくるのを見ているとも、どちらともとれるが、一つ前の次の清原深養父の歌が上からの雪を詠っているので、ここでは横から見た様子と想像した方が変化があって面白いかもしれない。 |
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また、この歌は "花と見るまで" という部分で次の坂上是則の歌にバトンを渡している。 |
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さらに "木の間より" と言葉からは、秋の歌だが次の読人知らずの歌も連想される。 |
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( 2001/11/12 ) (改 2004/01/22 ) |
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