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- 朝ぼらけ ・・・ 夜明け
- 有明の月 ・・・ 陰暦の二十日過ぎに夜が明けても出ている月
明け方の有明の月と見まがうばかりの吉野の里に降っている白雪、という歌で百人一首にも採られている。一般的には、有明の月[の明るさ]と見まがうばかりに降り[敷いている]雪、と解釈される。あたりが白々とほのかに明るいことを詠んでいるもので、「吉野の里」という冬のブランドが付いているために、寒さの感じまで同梱されているように思われる。
"降れる" は、四段活用の 「降る」の命令形+助動詞「り」の連体形で、この 「り」は完了も継続も表わすが、この場合は一面に雪があり、かつ今も降っているという 「継続」を表すものと見た方が自然であろう。他の歌で "降れる白雪" という言葉が使われているを見ると、318番の読人知らずの「薄おしなみ 降れる白雪」、460番の貫之の「鏡のかげに 降れる白雪」の二つの歌があり、どちらも同じように 「降る+積もる」を表していると考えられる。
雪が降れば積もるのは当然なので、何もこだわる必要はないようだが、続く 333番の歌などのように 「降りしく」という言葉が出てきた場合、今度はそれが 「降り敷く」なのか 「降り頻く」(=絶え間なく降る)なのか、という似たような問題もあるので、よりシンプルな 「降れる白雪」を考えておくことも無駄ではないだろう。また、雪が降れば積もるという当然さの逆を行って、積もりきれない 「淡雪」を使った次のような歌もある。
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