さだときのみこの家にて、藤原のきよふが近江の介にまかりける時に、むまのはなむけしける夜よめる | 紀利貞 | |||
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詞書の意味は、「貞辰親王の家で藤原清生の近江の介赴任の送別会をした夜に詠んだ」歌ということ。貞辰親王は清和天皇の第七皇子。藤原清生は「古今和歌集全評釈(中)」 (1998 片桐洋一 講談社 ISBN4-06-205980-0) によれば、大和守・藤原春岡の子。紀利貞(としさだ)は生年不詳、881年没。従五位下。 「近江−会う身」を掛けて、今生の別れというわけではないが、夜が更けてきたからであろうか、袖が濡れる、という歌。掛詞の部分が目立つため、後半の 「夜露−涙」が弱く見えるが、続く 370番の歌といい、かなりこなれた詠み振りである。行き先を入れている歌としては、寵(うつく)の歌が印象深い。そこでは相手の名前(きみとし)と行き先(ひたち)を詠み込んでいる。 |
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ちなみに、詞書にある 「藤原のきよふ」は伝本によって 「きよふん」「きよなり」と書かれているものもあるそうで、"今日" が 「きよふ」に掛けられているわけではないようである。ただ、「古今和歌集全評釈 補訂版 」 (1987 竹岡正夫 右文書院 ISBN 4-8421-9605-X) によれば、 "今日" に 「京」が掛けられていると見る説はあるそうである。 「思へども」という言葉を使った歌の一覧は 373番の歌のページを参照。 |
( 2001/12/11 ) (改 2004/02/17 ) |
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