Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十

       あふひ、かつら 読人知らず  
433   
   かくばかり  あふ日のまれに  なる人を  いかがつらしと  思はざるべき
          
     
  • つらし ・・・ 冷淡である
  「
アフヒのまれに」と 「いかガツラしと」の中に 「あふひ」(=フタバアオイ)と 「かつら」(=桂)を入れている物名の歌である。これがペアとされている理由は、賀茂神社の祭りにこの二つを飾りとして付けたためと言われている。同じ 「あふひ、かつら」を使った物名が続く 434番にも置かれていて、贈答歌のようになっている。

  歌の意味は、
このようにたまにしか逢えないようになった人を、どうして冷淡だと思わずにいられようか、ということ。物名の入れ方には無理やりという感じがあるが、歌全体の調子は整っている。

  「かくばかり」という言葉ではじまる歌としては、190番の躬恒の歌に「かくばかり 惜しと思ふ夜を いたづらに」という歌があり、「いかが」という言葉を使った物名の歌としては、457番の兼覧王(かねみのおおきみ)の 「いかがさき」の歌が思い出される。

   「つらし/つらき」という言葉を使った歌の一覧は 624番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/24 )   
(改 2004/01/20 )   
 
前歌    戻る    次歌