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       をばな 読人知らず  
443   
   ありと見て  たのむぞかたき  空蝉の  世をばなしとや  思ひなしてむ
          
     
  • 思ひなしてむ ・・・ みなしてしまおう
  「よ
ヲバナしとや」の部分に 「尾花」(=ススキの穂)を詠み込んでいる。有ると信じて頼みにすることが難しい現世を、もういっそのこと無いものとみなしてしまおう、という歌。

  この歌では、"世をばなしとや 思ひなしてむ" の二回の 「なし」がリズムを作っている点が目を引くが、次の 「伊勢うた」では果物の 「梨」の実に合わせて 「なりもならずも」と詠っている。

 
1099   
   おふのうらに  片枝さしおほひ  なる梨の    なりもならずも   寝てかたらはむ
     
        また、この歌の題である 「尾花」を 「花薄」およびその穂と同じと考えれば、242番の平貞文の歌をはじめ多く詠まれているが、「尾花」という言葉そのものを使った歌としては、恋歌一に次の読人知らずの歌がある。

 
497   
   秋の野の  尾花 にまじり  咲く花の  色にや恋ひむ  あふよしをなみ
     
        「たのむ」という言葉が使われている歌の一覧については 613番の歌のページを、 「空蝉」という言葉が使われている歌の一覧は 73番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/26 )   
(改 2004/02/24 )   
 
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