なし、なつめ、くるみ | 兵衛 | |||
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「あぢきナシ」「なげきナツメそ」「あひクルミをば」に 「梨・棗(なつめ)・胡桃」の題を詠み込んでいて、ミックス・ジュースのような歌である。歌の意味は、嘆き思いつめてもしょうがありません、辛い目にあってきた身でも捨てるわけにはいかないのですから、ということ。 最後の "捨てぬものから" の 「ものから」はここでは 「〜だから」という順接で、「捨て(られ)ない(ものなの)+だから」という感じであろう。 「ものから」という言葉を使った歌の一覧は 147番の歌のページを参照。 一つ前の 454番の紀乳母(きのめのと)の歌が 「恋のタイミングを逃してしまった」と歎いているのに対して、「悩んでもしょうがないじゃない」と言っているように見えるが、同じ場で詠まれたものかどうかはわからない。 "なげきなつめそ" は 「なげき+な+つめ+そ」で、「なげき」を 「つむ」な、ということ。この 「つむ」は 「な〜そ」の間にあって未然形として 「つめ」となっていることから、四段活用の 「積む」(未然形は「積ま」)ではなく、下二段活用の 「集む・蔵む」(=集める)あるいは 「詰む」(=つめる)である。 「思い詰む」(=思いつめる)という言葉との類似で 「詰む」あるいは 「嘆き詰む」で一言と見てよさそうである。 1057番の歌に「なげきをば こりのみつみて」という 「歎き−投げ木」を掛けた表現があるがその 「つむ」は、連用形で 「つみ」となっていることから、四段活用の 「積む」であり、文法的にはこの歌の 「つむ」とは別と考えられる。 ちなみに 「なげき」はもともと 「長息(ながいき)」(=ため息)からきた言葉で、「嘆き」または 「ため息」を表す。 |
( 2001/11/28 ) (改 2004/01/07 ) |
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