からことといふ所にて春の立ちける日よめる | 安倍清行 | |||
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また、清行の娘とされる讃岐(さぬき)も次の歌が雑体の中の誹諧歌に採られている。 |
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題の「からこと」は 「けさカラコトに」という部分に含まれている。 "今朝からことに" の 「ことに」は、頭から読んでいくと 「殊に(=特に)」という意味であるような気がするが、浪の音が特に聞こえるようになって春を感じる、というのでは何のことかわからないので、一般にはこれを 「異に(=違って)」と解釈する。同じ意味で 「ことに」を使った歌としては、秋歌下に読人知らずの次の歌がある。 |
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もちろん 「殊に」という意味で使われる場合もあって、次の忠岑の歌などがその例である。 |
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よってこの清行の歌の意味は、浪の音が今朝から違って聞こえるのは、春の調べが新しく始まったのだろうか、ということ。五行では 「春」の調べは 「双調(そうぢょう)」と言われ、Gの音を基音にしたものとされる。 「唐琴」という地名から、浪の音を楽器の音色に見立た歌である。古今和歌集の配列としては、この歌から物名の地名シリーズが始まる。 |
( 2001/09/06 ) (改 2004/03/14 ) |
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