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古今和歌集の部屋
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巻十一
題しらず
読人知らず
495
思ひいづる ときはの山の 岩つつじ 言はねばこそあれ 恋しきものを
岩つつじ ・・・ 岩場に自生するツツジ
思い出す時は、口に出しては言わないものの、恋しいものである
、という歌。つつじの花に相手の姿を重ねているのだろう。 「常盤−時は」「岩−言はぬ」の二つの掛詞があって飾りが多いものの、言葉のつながりはなめらかで姿のある歌である。「ときは山」は現在の京都府右京区御室双岡町の雙ヶ岡(ならびがおか)あたり。
同じ "思ひいづる ときはの山の" という出だしを持つ歌に
148番
の読人知らずのホトトギスの歌があり、"恋しきものを" という同じ結びを持つ
607番
の友則の 「水無瀬川」の歌は、「ことにいでて
言はぬばかりぞ」というフレーズを持っていて、この歌と通じるものがある。 「思ひ出づ」という言葉を使った歌の一覧は、その
148番
の歌のページを参照。
( 2001/11/28 )
(改 2003/12/17 )
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